寺田動物病院便り

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更新日:2007/12/18
動物って食餌にあきるの?

 ワンちゃんネコちゃん、動物って食餌に飽きるんでしょうか?

 実際、食餌に対して過度にえり好み行動を示す個体は存在します。この行動は、一般的には食餌が頻繁に変わることに対する、ペットの条件付けられた期待から生じたもので、人が原因の問題であると考えられています。今のところ、ペットが食餌に“飽きる”という感情を示すのかどうかは不明です。もしペットの全身状態が良い状態であれば、そのえり好み行動は食餌の過剰変更によるものと推測できます。

 ひとつの食餌への“執着”や“新しいもの好き”な行動は過去の経験に基づくことがあります。 子犬や子猫は、成長過程で与えられる食物の風味が刷り込まれ、これらの“風味”が安全であると学習し、何を捕食するべきかを学習すると考えられています。目新しい食べ物や風味に対する拒否反応は、動物が若いころから一種類の食餌だけを食べている場合に生じます。またある研究によると、犬は離乳から2歳までの間に食餌を頻繁に変えると、新しい食餌や風味の変化を好む“新しいもの好き”になるという報告があります。

 ペットが食事をする環境も、“条件付けられた”採食行動に影響を及ぼします。猫は、慣れた場所では新しいものを食べるのに、慣れない場所では拒否することがあります。

              参考:ヒルズ・クリニック通信



更新日:2007/12/06
ペットフードの嗜好性について(3)

 前回、前々回と動物の習性というか動物達のこだわり方を考えてみました。

 そこで今回は動物達の側に立った食餌を変更する際のテクニックを考えてみましょう。

食事の変更は自宅で実施:

 ペットが落ち着いて安心できる環境をつくります。そして、ペットが自発的に食事を食べる状態で変更を試みてもらいます。

二皿並行給餌法:

 もっとも単純な切り替え方法は、新しい食事をいつもの給餌皿に入れて、その脇に従来の食事を別の異なる皿に入れて置いておきます。いつもの給餌皿の食事にはあまり懐疑的にならないため、新しい食事を拒絶するリスクが最小となります。手で与えて、きっかけを作っても良いでしょう。その際、両方の皿には1回あたりの十分量を給餌します。新食事を食べた場合は、従来食を徐々に減らし、1〜2週間で完全に切り替えます。

どこでも作戦:

 二皿並行給餌法の変法のようなもので、猫の場合に推奨できます。いつもの食事場所に加えて、新しい食事(ドライフード)を少量入れた皿を家の中の数箇所に置きます。特に、お気に入りの場所(日の当たる窓際)の近くや、そこに行くまでの通路などが良いでしょう。

新旧フード混合法:

 ペットが常食していた従来の食事を新しい食事に混合して与え、徐々に従来のものを減らし、新しい食事を増加させる方法です。同時にペットの好むフレーバー/味を新しい食事に混ぜてもよいでしょう。味付けしていない肉の煮汁、魚肉缶のスープの部分などを利用して、若干の風味付けをします。次第に従来の食事/フレーバーを減少させれば、食事の切り替えがスムーズに達成できます。

食事加温法:

 缶詰フード(とりわけ冷蔵保存していたもの)は体温程度に温めて与えると、嗜好性が増します。ドライフードもそのまま電子レンジで加温すると、でき立ての風味を出させることができ、ペットは興味を持ちます。

缶詰のハンバーグ風:

 ローフタイプ缶フードは薄く輪切りにして、フライパンで両面を少し焼いて与えると興味を持つ場合があります。

 食事の変更にはストレスやフラストレーションを伴う場合があります。しかし、食事を適切な栄養組成のものに変更することは、ペットの健康を回復したり、改善したりすることに役立ち、QOLの向上ならびに、ヒトとペットとの良好な関係を構築することに役立ちます。

                   参考:ヒルズ・クリニック通信



更新日:2007/11/26
ペットフードの嗜好性について(2)

 前回のつづき

 つぎに動物の食餌の好みに影響する要因です。

◆ 水分含量:

 犬や猫の食餌に対する好みと水分含量の間には正の相関があります。平均して、半生よりウェットを好み、ドライより半生を好みます。ドライを水で軟らかくすると、嗜好が良くなる場合があります。ドライに水を添加すると、細菌が増殖しやすくなるので食べ残しの放置は禁物です。

◆ 食餌の温度:

 食物の温度は嗅覚と口当たりに影響します。犬も猫も体温位の温度のフードを好みます(下図)。電子レンジで加熱すると部分的に熱い場所が生じますので、口に火傷を負ってフード嫌いにならないように気をつけなければなりません。

◆ 過去の経験(給餌パターン):

 子犬や子猫は、成長過程で与えられる食物の風味が刷り込まれ、これらの“風味”が安全であると学習し、何を捕食するべきかを学習すると思われます。 目新しい食べ物や風味に対する拒否反応は、動物が若いころから一種類の食餌だけを食べている場合に生じます。ある研究によると、犬は離乳から2歳までの間に食餌をくるくる変えると、新しい食餌や風味の変化を好む“新しいもの好き”になるそうです。 ペットが食事をする環境も、“条件付けられた”採食行動に影響を及ぼします。猫は、慣れた場所では新しいものを食べるのに、慣れない場所では拒否することがあります。

                  参考:ヒルズ・クリニック通信



更新日:2007/11/19
ペットフードの嗜好性について(1)

 市販のフードに比べまして我々動物病院から症状にあわせてお渡しする療法食は最近向上したとは言え嗜好性がよくない(そのくせ高い・・・)といわれております。ワンちゃんネコちゃんの全身状態や症状から必要があってこの食餌を食べてほしいと思うのですが、なかなかうまく切り替わってくれないケースがよくあります。 ということで、今回は嗜好性について考えてみましょう。

 まず、動物の習性からみて分析してみます。

 犬や猫の食餌に対する受容性や好みに影響する主な感覚的要因は、におい、味および舌ざわりです。各々の要因についてみてまいりましょう。

◆ におい:

 犬と猫の嗅覚器官は高度に発達しています。ヒトにはおよそ3〜4cm2の嗅覚上皮があります。猫には嗅覚に関する中枢神経系ニューロンの密集した嗅覚上皮が約21cm2、犬には18〜150cm2もあります。このように高度に発達した嗅覚系により、ある犬は極低濃度(1×10-11モル)の溶液を感知し、そっくりな双子のにおいを識別するという能力があります。犬や猫にとって嗅覚が重要なことは明らかですが、食餌に対する興味を持続させるには味も重要です。

◆ 味:

 ヒトでは、味は甘味、辛味、苦味そして酸味という4種類の基本的グループに限定されます。犬や猫は、ヒトではわずかに苦味か酸味を感じるに過ぎない数種のアミノ酸を識別し反応するので、幅広く味覚に対して感受性を持っています。犬や猫は、特定のヌクレオチドや脂肪酸にも反応し肉の味を識別していると思われています。猫は好みませんが、犬は腐肉食動物としての習性を持ち、分解中の動物組織に蓄積しているある種のヌクレオチドを好みます。犬はある種の単糖類や二糖類に反応しますが、猫は糖に対する興味は低くなっています。しかし猫はリン酸やクエン酸などの酸に惹きつけられます。これらの酸はある種のドライ/半生フード(以後ドライ/半生)に使用されてきました。ウェットフード(以後ウェット)ではあまり酸味は好まれません。

◆ 歯ざわり、舌ざわり(口当たり): 

 食物の感触や口当たりは、食べる楽しみの重要な要素です。犬も猫も粘性の食物を好みません。ドライ中の粉砕された穀類やウェット中の粒子の密度は嗜好に影響します。ドライ一粒の大きさや形も重要です。犬によっては、ウェットより、押し出し成型加工したドライのほうを好みます。猫も、ある種の硬さや形状に強い好みを示すことがあります。

◆ 視覚: 犬や猫の色彩感覚とフードの色に対する好みとの関係はまだ不明です。        

次回に・・・・・つづく   

                参考:ヒルズ・クリニック通信



更新日:2007/11/14
ペットフードの基礎知識(3)

 今回は余談ですが、製品の名前の付け方についてです。。

 製品の名前の付け方にも、ある一定のルールがあります。ペットオーナーにとって、ペットの好む原材料やフレーバーは、製品購入時の目安の一つとなります。 例えば、つぎのような2つの製品があったとし、何が違うでしょうか?いずれの製品もツナとチキンを原材料に使っているであろうということは想像できます。

 製品A:「○○キャットフード・ツナ&チキン」

 製品B:「○○キャットフード ツナ風味 チキン入り」

 実は規約では、原材料名を商品名、絵、写真、説明文等に使用する場合は、その原材料がペットフードの乾燥内容量の5%以上使用されていなければけないことになっています。逆に5%未満の場合は、「ツナ入り」、「ツナ味」、「ツナ風味」、「ツナフレーバー」などと表示しなければなりません。  ですから、製品名を見るだけで、製品Aは「ツナも5%以上、チキンも5%以上」であることがわかりますし、製品Bは「ツナもチキンも5%未満」であることがわかります。

 ただしツナのように、ペットオーナーにとって魅力的な原材料がたっぷり使われているからといって、単純に「栄養たっぷり」と喜ぶわけにはいきません。確かに、「おいしさ」という点での満足度は高まるかもしれませんが、栄養バランスを考えると、与え方に注意が必要となる場合もあります。例えば大人の猫が主食として食べるフードに含まれる蛋白質の量は約30〜45%(乾物量分析値)といわれています。一方、ツナ(まぐろ赤身)に含まれる蛋白質の量は80〜95%(乾物量分析値)程度といわれているので、もし原材料として100%ツナを使った猫缶があったとすると製品中に含まれる蛋白質の量を適切なレベルにコントロールするのはかなり困難といえるでしょう。よって、このような缶詰を主食として毎日与え続けた場合、やはり栄養学的に問題があると言わざるを得ません。

               参考:ヒルズ・クリニック通信



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